● 西郷家の家紋
明治天皇は深く南洲翁の士気人物を愛し給ひ、明治の初年、上の如く16瓣の菊花を中央に 、左右2枚葉を以って相せる紋章を「以後これを家紋とせよ」と下賜されました。
● 南洲翁夫人「糸子」
晩年のもので71才の時の写真
● 西郷寅太郎(習志野収容所長・陸軍大佐)
明治天皇深く南洲翁の偉勲を偲び、明治35年侯爵を授け賜った。
大正7年(1918)11月、第一次世界大戦はドイツの敗北。そして、うちひしがれる習志野のドイツ兵をあざ笑うように、スペイン風邪が襲いかかってきたのであった。12月に最初の死者が出て、次の犠牲者は西郷所長であった。大正8年1月1日、朝から高熱を出していた西郷所長は医師が止めるのも聞かず、乗馬で収容所へ向った。年頭のあいさつとして敗戦の衝撃に沈んでいるドイツ兵を励まし、この新年が彼らにとって帰国の年となることを伝えようとしたのである。あるドイツ兵は、所長の死亡はこの日の午後4時であったと、敬意を込めた墓碑銘のように記している。享年54歳。
● 元京都市長
西郷菊次郎氏家族。大正15年の夏撮影 。
西郷菊次郎は四郷隆盛の長男である。 遠島を命ぜられ、奄美大島に蟄居する間に愛加那との間に設けた子供である。 菊次郎は文久元年(1861年)に生まれた。他には菊子という女子も生まれている。 隆盛は前にも妻を娶っていたが、最初の妻との間には子どもはなく、この菊次郎と菊子という娘が長男、長女となる。
●西郷菊次郎と琵琶湖疏水事業
「明治」という時代は,日本の近代国家への歩みの出発点でしたが,京都にとっては,明治維新で都の地位を失い,人口が3分の2に激減する深刻な人口減少と都市衰退の危機という,歴史的な困難からの出発でした。 この危機に対して,町衆をはじめとする人々が英知を結集し,日本初となる小学校の創設などを行いました。
しかし,西郷菊次郎が市長に就任した明治30年代はまだ,京都の旧市街は道路が狭く,上水道や満足な下水道もなかったため,飲料水は汚染され,伝染病が流行するなど,まちづくりの課題がありました。明治20年代,琵琶湖疏水(第一疏水)が竣工し,水力発電による動力用電力を得ましたが,疏水からの電力は,京都の需要に十分なものではありませんでした。京都は,近世以来の三大都市(三都)の一つでしたが,その地位から没落するのではないかという危機感がまだ根強くありました。
(外部サイト)
京都市街新細図/明治27年(1894年) (国際日本文化研究センター所蔵)
こうした中,京都市長に就任したのが,西郷菊次郎でした。 明治30年代に,京都は,近代都市への脱皮を目指すべく,西郷菊次郎という大変有力な市長を迎えたのです。当時の京都市の有力者たちは,西郷隆盛の息子というカリスマ性を持つ西郷菊次郎を市長に選出し,積極的な都市改造を託したのでした。 西郷菊次郎市長は,自治権を持てるようになった京都市をさらに飛躍させるため,「京都市政」として初めての大事業ともいえる三大事業を計画しました。
三大事業起工式(岡崎公園での余興の様子)
三大事業とは,
①第二琵琶湖疏水を作り,多くの水や電力を得る。
②第二疏水からの大幅な水量増加を利用して,上水
道を敷設し,市の衛生状態を改善する。
③主な七つの道路を拡築すること。
です。
また,そこに軌道を敷設して,市電を走らせ,電気事業を市で経営する計画もありました。 西郷市長は,三大事業によって,市内の輸送力を大幅に増加させ,さらに街灯をランプから電灯へ,京都の夜を明るく一変させることも構想したのです。
その事業は,当時の京都市の市税収入の34倍にものぼる巨大事業でしたが,西郷市長は「百年の大計を図る上において,最も有益なるのみならず,その財源を外資に仰がんとする上においても恰好なる事業と信じる」と,外国債を発行してでもやり遂げる方針を示しました。
多額の事業費などに対して,当時の市民がこぞって三大事業に賛成したわけではありませんでしたが,西郷市長の強い信念は,まず,技術者たちの心に火をつけ,「百年の大計」が動き出します。 例えば,琵琶湖疏水は,当時,一般的であった外国人技術者の援助を受けることなく,すべて日本人の手により工事を行い,レンガなどの多くの工事用資材を自給自足で賄うなど,大変な困難を創意工夫で乗り越えていきました。
また,大型プロジェクトを強力に進める一方で,西郷市長は市民目線に立った区行政も重要視しており,就任後,さっそく上下京の両区役所で訓示と視察を行いました。 その際,「区役所の事務は最も人民に接するものであり,市民の便利を図り,公利公益を増進させてほしい,そのためには迅速な事務作業・誠実・公平を忘れてはならない」と話し,職員を激励したそうです。
京都市総合企画局市長公室政策企画調整担当
● 西郷吉之助
南洲翁孫、元法務大臣。左は家族。大正15年夏撮影 。
● 西郷家家系図
西郷南洲翁大畫集より